これは奈良の応援歌だ
上野 誠
大和の人は、「まほろば」という言葉をこよなく愛す。
「ま」は、ほんとうに、「ほ」は秀でたものをいう言葉だ。「ろ」と「ば」は、難しいが、接尾辞の一つで、ひとつの場所を表すとみてよい。だから、「まほろば」とは、国や地域のなかでも、よいところだ、という意味になるのである。したがって、本歌集は、大和人、奈良人である松森さんが、大和のよきところを歌った歌集ということになろう。
松森さんは、奈良の素封家の家に育ち、家業を発展させた実業家であるが、その活動は、常に十年後、二十年後の奈良を見つめて、にぎわいをどう作るのか、というところにあった。
その松森さんが、歌集を出すという。私は、新聞紙上で松森さんの短歌を読んでいたから驚かなかったが、ゲラを見て、胸が熱くなった。オール大和、大和応援歌なのだ。しかし、声高に語らないところが松森流だと思う。(序文より一部抜粋)
B6判230頁、上製本、カラーカバー
定価[本体価格1,500円+税]